モデル撮影について
ポートレート撮影を始めてもうすぐ半年。
最初のころは偶然による出来を期待しなければならなかったのが、今では狙った絵が撮れるようになってきました。
モデル撮影やカメラに慣れてきた、というのもありますが、やはりそれだけではないと思います。
巷のクラブ開催の講習会に参加したり、他の人のポートレート写真を研究したり、レンズを換えて写り方の違いを調べてみたり、少しずつそんな学習を重ねてきたからだと思っています。
ただ、僕の撮るポートレート写真は他の人のポートレート写真と決定的に違うところがあるようです。
それは、
モデルさんが小さくしか写っていない!
EF-S17-55mm F2.8 IS USM 1/400秒 F8.0 0EV ISO100 17 mm
ということです。つまり、アップが少なく、また背景が多い構図となっています。
風景写真を撮ることが多いからでしょうか、構図としてそういうものを好む、というのもありますが、僕がモデル撮影の写真というのを、「背景+モデル」によって成り立つと考えているからです。
ですから、モデルさんだけをアップで写す本当の意味のポートレート撮影は、あまり好きではありません。同じ理由で、スタジオ撮影より屋外撮影が好きです。
したがって、ここでは「ポートレート撮影」ではなく「モデル撮影」と言うことにします。
写真撮影においてカメラマンがやらなければならないことはいろいろあります。これは風景撮影でもモデル撮影でも大体同じです。
- 撮影する時刻を決める
- 撮影する場所を決める
- 撮影するものを決める
- ライティングを決める
- 画角と構図を決める
- 使うレンズと焦点距離を決める
- モデルのポーズと表情を決める(モデル撮影の場合)
- 絞り(被写界深度)を決める
- 露光を決める
- ピントを合わせるものを決める
- シャッターを切る
といったものですね。
これらは項目ごとに単独で決められるものではなく、お互いに関係するものもあります。 例えば、5.の画角と構図、6.のレンズと焦点距離、8.の被写界深度はお互いに関わり合いがあります。9.の露光、10.のピントを合わせるものの決定も、5.の構図の一部と考えることができます。
さて、これらを個別に説明します。
1. 撮影する時刻を決める
撮りたいものによっては、必ずしも制限されるものではありませんが、撮影可能な時刻に制限がある場合や(典型的には夜景撮影)、時刻による光の違いが欲しい場合などが該当します。
モデル撮影においては、モデルさんの都合により時間が自由に選択できることも少ないですが、完全な昼間の光か夕刻の光か程度は選択することは出来るでしょう。
なかなか難しいのですが、一度、朝の光の中の郊外や、夜の街でモデル撮影してみたいです。
2. 撮影する場所を決める
ここで言う「撮影する場所」は、写真に収める風景ではなくて、文字通り撮影を行う場所のことです。
風景撮影では、場所の決定が重要なのは当たり前ですが、先にも述べたとおり、僕にとってはモデル撮影も「背景+モデル」で成り立つので、背景の選択は重要な意味を持っています。
例えば、僕は神戸の海沿い、山手のハーブ園、奈良の奈良町などでモデル撮影をしています。
3. 撮影するものを決める
「撮影するもの」というのはもちろん被写体のことですが、カメラに収める風景や背景も含めます。モデル撮影についてはモデルさんも被写体ですが、それは通常、最初から決まっているでしょうから、ここではモデルさんではなく、背景や小物類と思ってください。
EF-S17-55mm F2.8 IS USM 1/20秒 F2.8 +2/3EV 100 55mm
撮影する風景や背景を決めるにおいて、何が一番重要かというと、ずばり「センス」ではないかと思います。写真に写る画角内で風景を切り取ったとき、面白い、美しい、趣のある場所かどうかを感じ取れる能力が必要なのです。この能力は天性のものもあるでしょうが、あとで訓練で身につくと思います。
4. ライティングを決める
ライティングとは、照明を含めた光の調節のことです。
屋内のモデル撮影の場合、ライティングは大変重要です。いろいろな照明設備を駆使して、自分の望むライティングを作り出す必要があります。
屋外のモデル撮影の場合は、自然光を元に調節します。モデルの立ち位置を選んで、顔に強い影が出来たり、極端な逆光にならないようにするのが基本で、さらにレフ板で調節したり、時にはライトやストロボを使う場合もあります。
実のところ、僕は屋外での撮影は、ライティングにはこだわっていません。モデルだけを撮影するポートレート撮影だと重要だと考えますが、僕が撮りたいのは「背景+モデル」であって、顔に影が出来たとしても、それはその場の真実の情景として写真として収めたいと思っています。
EF85mm F1.8 USM 1/1250秒 F1.8 +2/3EV ISO100 85mm
ただ、逆光に関しては、人間の目で見えている情景とカメラで撮影される情景は大きく異なり、人物を明るく写すと背景が白飛びしてしまいます。このような場合は、ストロボで補正したりしています。撮影場所が観光地など人の多いところで行うことが多いので、レフ板は基本的には使っていません。
5. 画角と構図を決める
ちょっとでも趣味でカメラをやってる人なら、画角と構図は考えると思います。
画角というのは、風景や人物のどれだけの範囲をカメラに収めるかということ。構図というのは、写る画面内のどの位置に何を配置して写すかということです。絵画の構図と同じもので、絵画の経験がある人や才能のある人には難しくない作業だと思います。
EF50mm F1.4 USM 1/1000秒 F1.4 +1EV ISO100 50mm
モデル撮影を始めたころは、この画角と構図ばかりに注意がいっていました。確かに画角と構図は基本なのですが、それだけでは満足のいく写真が撮れないことに気づきました。
6. 使うレンズと焦点距離を決める
いきなり難しい話になりました。
どんなレンズを使えばよいのか、どんな焦点距離がよいのか、ぱっと判断できるには、相当な経験が必要だと思います。僕も最近になってなんとなく分かってきましたが、むしろ今は好みによる判断のほうが大きいです。
ズームレンズを使ってしまうと、単に画角を決めるために焦点距離を変えてしまうことが多いと思います。これは間違いとまでは言いませんが、自分の立ち位置で画角が変えられるのであれば、立ち位置で画角を調節すべきです。
では、焦点距離やレンズの選択で何を変えるのかというと、「被写界深度」と「遠近感」の2つだと思います。
被写界深度とは、どれだけ前後の広い範囲にピントが合うか、ということです。焦点距離の長いレンズほど被写界深度は浅くなります。自分の望む被写界深度を得るためにレンズの焦点距離を選びます。ただ、被写界深度は絞り値でも変わるので、焦点距離だけで決めるわけではありません。欲しい被写界深度を得るための条件を作る、と言ったほうがいいでしょうか。
遠近感は、写真から感じるモデルと背景との距離感です。モデルと背景の大きさの差があるほど遠近感は強くなります。
長めの焦点距離のレンズを使うと、遠近感の少ない落ち着いた感じになり、短い焦点距離のレンズを使うと、遠近感の強い躍動的な感じの描写になります。中間のレンズが人間の目に近い自然な感じの描写となります。
EF85mm f/1.8 USM 1/250秒 F1.8 +2/3EV ISO400 85mm
↑落ち着いた感じの85mm
EF50mm F1.4 USM 1/250秒 F2.0 +2/3EV ISO400 50mm
↑自然な感じの50mm
広角レンズを使うと、広い画角を狭い写真に収めるため、人間の目で見るとの違ったように描写されます。これによって広がり感のある写真になりますが、不自然な感じになったりすることもあります。被写界深度も深くなるため、一長一短で諸刃の剣と言えるでしょう。
なお、被写界深度が浅くて背景がボケていても遠近感を感じますが、大きさの差から受ける感覚よりは少ないようです。
EF-S17-55mm F2.8 IS USM 1/320秒 F5.6 0EV ISO100 17mm
↑広角レンズで斜めの構図を入れるとさらに奥行き感が強調される
モデル撮影の場合、焦点距離が50mm~100mm程度の絞り開放F値が小さい単焦点レンズ(F2以下)を使い、絞りで被写界深度を調節するのが手軽で失敗が少ないと思います。ズームレンズは一般的に絞り開放F値が大きく、絞りで被写界深度の調節が出来ません。望遠側を使う手もありますが、手ブレの心配があったり、レンズの性能上、解像度が悪くなったり、モデルとの距離が遠くてコミュニケーションが難しくなったりしてしまいます。
7. モデルの表情とポーズを決める(モデル撮影の場合)
これは当たり前ですが、風景撮影とモデル撮影の決定的な違いはここです。
モデルさんと、うまくコミュニケーションできるかどうかもカメラマンの腕にかかっており大変重要です。
しかし、実は僕はあまりモデルさんにはポーズや表情はお願いしていません。今まで撮ったモデルさんが、自分でいいポーズをとってくださったということと、僕の撮る写真が、「背景+モデル」で成り立つもののため、ごく自然なポーズがぴったりする、というのがあります。
EF-S17-55mm F2.8 IS USM 1/30秒 F2.8 +2/3EV ISO100 55mm
↑ポーズではなくて、本当に僕に話しかけているところ。あえてそれをそのままショット。これはモデルとコミュニケーションできているのか、それとも…?
表情に関しては、実は僕に身体的な問題があります。僕は目が悪くて矯正視力で両眼0.4しかありません。カメラのファインダーで見ても、アップでない限り表情がわからないのです。というわけで指示を出したとしても狙った通りなのか確認することができません。撮影後に拡大して確認するしかないわけで、それならモデルさんの自然な表情にまかせて、あとは枚数でカバーするということになっています。
8. 絞り(被写界深度)を決める
ここまで来ると、あとはカメラを操作するだけです。
絞り優先AEやマニュアル露光では、絞りを調節して、望む被写界深度に調節します。プログラムAEの場合はプログラムシフトして、絞りを調節します。
レンズの焦点距離と絞り値の組み合わせで被写界深度が決まり、ボケ具合も変わってきます。
被写界深度が浅いと背景のボケが大きくなり、モデルが浮き上がったような作画になります。さらに極端に浅くすると、全体にソフトフォーカスになり、ソフトフィルターをかけたような効果を出すこともできます。被写界深度が深いと、まずモデル全体がシャープに締まった輪郭になり、背景のディテイルも分かるようになります。
被写界深度は浅いほうがいいのか深いほうがいいのかですが、浅いほうを選ぶことが多く、特定の目的の場合には絞り込んで深くすることがあります。
F5.6 1/60秒
F1.4 1/1000秒
EF50mm F1.4 USM +1EV ISO100 50mm
↑奥のテーブルのボケ具合と人物の輪郭のボケ具合を比較してみてください。F1.4は指もボケています。
9. 露光を決める
シャッタースピードを調節して露光(露出)を決めます。
普通はAE(自動露光)を使うと思いますから、自分の狙いにあわせて、プラス・マイナスに補正することになります。
モデル撮影や花を撮影するとき、夜景を撮影するときはプラス側に補正することが多いです。僕のEOS Kiss Digital Xの場合、モデル撮影だと+0.67EV~+1EVくらいです。モデル撮影の場合、明るい目にしたほうが肌が綺麗に写ります。
AEはカメラによって癖があるようで、背景が極端に暗い場合、マイナス側に補正しないと、人物が白飛びしてしまうカメラも多いようです(Canonの場合、基本がアンダー目なので大抵大丈夫です)。
EF-S17-55mm f/2.8 IS USM 1/200秒 F3.2 0EV ISO400 55mm
↑Canonならこれでも露出補正0。普通はマイナス補正必要かも? 絞りは開放から1/2段絞ってみた。
自分の撮ったポートレート写真が、「人物が鮮明に写ってないな」と思う人は、試しにプラス側に補正してみましょう。
10. ピントを合わせるものを決める
作画の中心になるものにピントを合わせるのが一般的です。
モデル撮影の場合、顔に合わせるのが普通で、アップの場合は目にあわせることが多いと思います。モデルに対して十分被写界深度を確保している場合は、一番手前の面(例えば頬)などにピントを合わせます。カメラに対してモデルの顔が斜めになっていて、かつ、被写界深度が浅い場合は、ピントを手前の目に合わせるか、奥の目に合わせるかで、仕上がりの雰囲気が変わってきます。僕は目が悪いので、この微妙なピント合わせが出来なくて、非常に口惜しいです。
EF-S17-55mm F2.8 IS USM 1/50秒 F2.8 +2/3EV ISO400 55mm
11. シャッターを切る
これが一番重要だったりします。今までの苦労が報われるか、それとも全てパーになるかの瞬間です。
重要なことは3つ。
- せっかく作った構図を崩さない - 構図を作った後に、被写界深度やピント合わせに夢中になって、構図が崩れてしまうことがあり、僕はよくこれで失敗しました。
- せっかくあわせたピントを外さない - よほど被写界深度が浅く、被写体に寄って撮影していない限り大丈夫なのですが、体が前後に動いてピントを外してしまうことがあります。
- 手ブレさせない - 今までのことが全て完璧でも、最後の手ブレでパーになってしまいます。シャッタースピードが遅い場合は特に注意が必要です。風景撮影の場合、しっかり構えて落ち着いて撮るせいか、手ブレすることはあまりないのですが、モデル撮影の場合はなぜかよく手ブレしてしまいます。
僕がモデル撮影で気をつけたり、工夫していることは以上です。一般的なことと、僕の主観とをひっくるめて書いてしまいましたが、なかなか奥が深いものだと思います。
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コメント
11月1日は、有り難う御座いましたぁぁぁあ(^-^)ノ
イトイチさんが、とても素敵な方で楽しく撮影出来て本当に楽しかったです!!!
イノセントの方にもUP感謝です♪
また、お会いすることが出来たらなぁ~・・・
なんて思ってマス(>_-)-☆
投稿: aco | 2008年11月 3日 (月) 11時28分
こんばんは!
どうもお疲れ様でした! そしてありがとうございました!
こちらこそ楽しく撮影させていただきました。
なかなか予定が合わないことが多いのですが、またぜひよろしくお願いしますね!
投稿: イトイチ | 2008年11月 3日 (月) 22時22分